全日本ロードレース選手権もシリーズ第7戦オートポリスを迎え、今回を含め残り2戦と、いよいよ2019年シーズンも大詰めとなってきた。前戦の岡山ラウンドで1-2フィニッシュを飾った日本郵便 Honda Dream TP は、今回も、その再現をすべく事前テストから精力的に走り込んだ。小山は、アベレージタイムは、いいのだが、一発タイムを思うように出せないでいた。一方、國峰は、一昨年オートポリスで優勝しているだけに、今回は前を走りたいところだった。岩田も着実にレベルアップしてきており、2人のチームメイトに迫る速さを身につけてきていた。
レースウイーク初日は、前日が嵐のような風雨だったため、ウエットコンディションでスタート。その後、天気は回復し、ST600クラスは、2本ともドライコンディションで走ることができた。46台がエントリーし、2組に分かれてセッションが行われ、小山はA組、國峰と岩田はB組の出走となっていた。この日、國峰が1分53秒206をマークしトップにつけ、小山は1分54秒186で3番手、岩田も1分54秒391で4番手と日本郵便 HondaD ream TP の3選手が存在感を見せた。ここで小山は、1分53秒台に入れられなかったことを重視。公式予選では、全力でアタックすることを誓っていた。
その宣言通り、公式予選では会心の走りを見せ1分53秒403をマーク。このタイムがポールポジションタイムとなった。國峰は、セットを外してしまい1分53秒台に入れることができず4番手、岩田も10番手と前戦よりは着実にポジションを上げていた。
決勝日の朝は、オートポリス特有の霧に包まれ、路面も濡れていたが、その後、天気は回復。絶好のレース日和となって行った。
そしてST600クラスの決勝を迎える。ポールポジションから好スタートを見せた小山は、ホールショットを奪うとレースをリード。國峰は、5番手につけていたが、岩田は第1ヘアピンで転倒を喫してしまう。再スタートできたものの、マシンにダメージがあり、そのままピットインし悔しいリタイアとなってしまう。
小山は“1分53秒台で走ること”と“2位を5秒以上引き離す”という目標を掲げていた。その通りに1分53秒台でコンスタントに周回。これに奥田選手、岡本選手、國峰、長尾選手が続き、トップグループは5台が形成していた。4周目に國峰はファステストラップするが、前を行く岡本選手と奥田選手をかわすことができない。一方、小山は、2番手以下を引き離し、独走態勢を築いて行く。
レース中盤に國峰は、奥田選手をかわし3番手に上がり、岡本選手のテールを伺うが、かわすことができない。10周目には、奥田選手に抜き返されると、レース終盤は岡本選手と3位争いを繰り広げる。
トップを独走する小山は、レース終盤に1分54秒台にタイムを下げたが、それでも2位に4秒964差をつける圧勝で今シーズン3勝目をマーク。チームにとっては、初のポールtoウインとなった。國峰は、何とか表彰台に上がりたいところだったが、4位でゴールとなった。
小山は、2番手の岡本選手に9ポイントをつけランキングトップで最終戦MFJ-GPを迎えることになった。最終戦は、三重県
・鈴鹿サーキットで11月3日に行われる。
小山知良コメント
「独走で2連勝、今シーズン3勝目を挙げることができました。これもチーム、応援してくださる皆さんのおかげです。二つ掲げた目標のうち一つはクリアできず悔しいですが、圧倒的な速さを見せることができたと思います。最終戦もタイトルを意識せずに、記録よりも記憶に残るライダーを目指して、とにかく全力で走ることだけを考えてプッシュして行きます。引き続き応援よろしくお願いいたします」
國峰啄磨コメント
「車体の方向性もすぐに見つかりましたし、事前テストから、いい流れで進められていたと思います。初日は、少しトラブルがありましたが、トップタイムも出せましたし順調だったと思います。ただ、レースでは、マシンが今ひとつ走ってなく、2台を抜けないうちに小山選手が逃げてしまった感じでした。もっと早めに前に出て、小山選手についていくことができれば違う結果になっていたと思います。今回の反省点を生かして、最終戦は勝ちを狙いたいと思っています」
岩田悟コメント
「ライディング面でもマシン面でも前戦の岡山ラウンドに比べるとワンランク、レベルを上げることができていました。最終戦鈴鹿を見据えて、しっかりレースをこなそうと思っていたのですが…。スタートを少し失敗してしまい、1周目のヘアピンで突っ込み過ぎてはいないのですが接触しそうになったのを避けて転んでしまいました。応援してくださった皆さんに、いい報告ができず申し訳ない思いです。最終戦鈴鹿では、いいレースをして、いい報告ができるよう全力を尽くします」
手島雄介代表コメント
「チーム初のポールtoウイン、2連勝という結果を残してくれた、みんなの努力には感謝しかないですね。小山は有言実行で攻め切る走りを見せてくれましたし、國峰と岩田も結果は残念でしたが、要所要所でいい走りを見せてくれました。何より応援に駆けつけてくださった日本郵便の皆さんを始め、ご協力くださった全ての方が喜んでくれたことが、うれしかったですね。最終戦鈴鹿は、史上初の1-2-3フィニッシュを目標に、しっかり準備して行きたいと思っています」
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