全日本ロードレース選手権は、シリーズ第3戦を宮城県・スポーツランドSUGOで迎えた。第2戦鈴鹿は、JSB1000クラスのみの開催だったため、日本郵便 HondaDream TPがエントリーしているST600クラスは、今回が2戦目となる。開幕戦ツインリンクもてぎでは、エースの小山にマシントラブルが発生し、決勝ではライバルの速さを見せつけられた。手島監督を中心に、チームを立て直し、再び勝つためにマシンをチェックし直し万全を期して事前テストに臨んだ。その意気込みに応えるように小山は、好タイムをマーク。ライバルも速かったが、アベレージスピードでは負けていなかった。一方、國峰は、マシンセットに悩んでいた。
レースウイークを前に、3台目の#430に岩田悟を起用することを決定。岩田は、ここ数年はチームのコーチ担当であり、4年振りのスプリントレースに、ぶっつけ本番で臨むことになっていた。
SUGOと言えば、ここ数年、雨や霧、寒さに見舞われていたが、今年は、3日間とも快晴となり、日を追う毎に気温は上昇。日曜日は、気温32度、路面温度は53度という真夏並みのコンディションとなっていた。小山は、その天気予報を見て、暑くなればなるほど勝機が見えてくると思っていた。高い路面温度に合うセッティングを考えながらセッションをこなして行く。
初日は、1分31秒183をマークした小山がトップ。國峰は11番手、この日から走り始めた岩田は、30番手につけていた。土曜日は、さらに気温が上がり公式予選は、タイヤのグリップがあるうちが勝負となった。小山は、セッション序盤のアタックで1分31秒226をマークしリーダーボードのトップにつけるが、長尾選手が小山のタイムを上回って来る。小山は2番手となり、國峰が5番手、岩田は23番手でレースに臨むことになった。
厳しい暑さに見舞われた日曜日。朝のウォームアップ走行でもユーズドタイヤでサスセッティングを行った小山は、グリッド上でも最後の調整を行いレーススタートを迎える。
好スタートを切った小山は2番手で1コーナーをクリア。國峰も6番手につける。トップを走る長尾選手は、オープニングラップからハイペースで飛ばし、レースをリード。小山も必死に食らいつくと4周目に、このレースのファステストラップとなる1分31秒054をマーク。このタイムは、SUGOの新しいコースレコードとなった。このペースに國峰は、ついて行くことができず徐々に遅れて行く。
レース中盤になると岡本選手がトップに立ちレースをリード。小山も、そのテールをピタリとマークする。レース終盤は、完全に岡本選手との一騎打ちとなり、運命のファイナルラップを迎える。1コーナーのブレーキングでインに入る小山だったが、クロスラインとなり2コーナーで抜き返されてしまう。この日、バックストレートが追い風だったことを、しっかりチェックしていた小山は、バックストレートから馬の背コーナーへのブレーキングで仕掛けトップに浮上! 最終コーナーを立ち上がり10%勾配のストレートで両者は並んでゴールラインを通過して行く。結果は、0秒002差で小山が前となり今シーズン初優勝を飾った。國峰は、古山選手とのバトルを制し6位。岩田は、徐々にポジションを上げ15位でゴールした。
小山知良コメント
「開幕戦はトラブルで不完全燃焼だったので、今回は勝ちたいという思いがチームを一つにしました。SUGOは鬼門とも言えるコースなので、ここで勝てたことは、すごく大きいと思います。完璧なマシンを用意してくれたチームに感謝したいですね。レース序盤は、長尾選手がすごく速いペースで周回するので、ついて行くのがやっとでしたが、最後の最後で勝負することができました。次戦の筑波は、2レースあるので、両方とも勝てるように全力を尽くします」
國峰啄磨コメント
「今回のSUGOラウンドは、事前テストからタイムが出ず、レースウイークの金曜日まで迷走していました。土曜日の公式予選でようやくまとまってきた感じでした。決勝では、持ちペースが遅かったのでトップグループについて行けず、レース終盤はマシンに問題もあったので大変でしたが、ベストは尽くせたと思います。次戦の筑波は、ライダーの実力が出るコースなので、事前テストから、しっかりセットを決めて2レースとも勝ちを狙っていきたいと思っています」
岩田悟コメント
「ぶっつけ本番での参戦になりましたが、すごく濃いレースウイークを過ごさせていただきました。4年振りのST600クラスでのスプリントレースとなるので戸惑った部分もありましたが、ここ数年、若手ライダーを指導してきたことや、小山選手のアドバイスもあり、着実なステップを踏めました。目標にしていた1分32秒台、15位以内もクリアできたので、いい経験になりました。チームに感謝したいですね」
手島雄介代表コメント
「前戦のツインリンクもてぎでは、トラブルが続き、小山に苦しい思いをさせてしまったため、今回のSUGOまでに、チームを立て直し“勝つ!”という強い思いがレースに出たと思います。國峰も岩田も、それぞれ頑張ってくれましたし、スタッフにも感謝したいですね。次戦の筑波ラウンドは、2レース制なので、タイトルを争う上で重要なレースとなるので、この流れのまま再び勝てるように準備して行きたいと思っています」
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