第4戦
SUPERBIKE RACE
in 筑波サーキット
苦しみ抜いた筑波で
小山がつかんだ2つの表彰台
代役参戦の伊藤 和輝は
両レースをしっかり完走

ST600 #3 小山 知良
Race 1 予選:5番手(タイム:1分02秒737)
決勝:3位
Race 2 予選:11番手(タイム:1分03秒092)
決勝:3位

ST1000  #1 伊藤 和輝
Race 1 予選:11番手(タイム:1分03秒231)
決勝:10位
Race 2 予選:11番手(タイム:1分03秒417)
決勝:8位

ST600 #45 小林 隼士
Race 1 予選:3番手(タイム:1分02秒571)
決勝:9位
Race 2 予選:3番手(タイム:1分02秒918)
決勝:18位

STORY

 シリーズ第4戦を迎えた全日本ロードレース選手権。舞台は、茨城県・筑波サーキット。昨年、新型コロナウイルスの影響を受け中止となったため2年振りの開催となる。今回も全クラス2レース制で行われ、シリーズランキング上でも非常に重要なラウンドと言える。高橋裕紀は、世界耐久選手権第1戦ル・マン24時間に参戦のため、代役に20歳の伊藤和輝を抜擢。昨年は、全日本ST1000クラスにフル参戦しており、ランキング13位となったライダーだ。また、昨年よりT.Pro Inovationから筑波ロードレース選手権、もてぎロードレース選手権ST600クラスに参戦している17歳の小林隼士(はやと)がスポット参戦。全日本デビュー戦となった。
 今回も前週にエントラント向け特別スポーツ走行が2日間設けられていた。2日間とも気温は30度、路面温度は50度を超える真夏のような厳しいコンディションに見舞われた。
 Honda CBR1000RR-Rを初めて筑波で走らせる伊藤だったが、順調にタイムを縮めていき初日の1本目で57秒561をマークし3番手につけていた。2本目でも早々に57秒411とタイムを縮めていたが、1コーナーで転倒。ランオフエリアの狭い筑波は、一瞬でクラッシュパッド行きとなってしまう。骨折はなかったものの、 2日目の1本目を走ると力が思うように入らない部分があり、走行を切り上げた。
 一方、小山は、フロントのセットに大苦戦。初日は9番手、2日目は、6番手と小山らしからぬポジションとなっていた。ストの現場では限りがあるが、試行錯誤し、方向性をつかみ、レースウイークにつなげたいところだった。
 レースウイーク初日となった金曜日のART合同走行も事前テスト同様の厳しい暑さに見舞われた。小山は、フロントフォークの仕様を大幅に変更。限られた時間の中でマシンセットを進める。完全に納得するところまでは、いけなかったが着実にフィーリングはよくなってきていた。
 土曜日は、一転して雨模様となる。ウエットの予選で小山は、いいフィーリングが得られず苦戦する。25分という限られたセッションの中で、トライを続け、セッション終盤に間合いを計りタイムアタックし5番手に食い込む。2レース制だけに、もう1周、タイムを出しておきたいところだったが、セカンドタイムでは11番手と近年の小山には、ない後方グリッドとなった。

一方、小林は、水を得た魚のように積極的な走りを見せ、何と両レースとも3番手グリッドを獲得。フロントロウから全日本デビューレースをスタートすることになった。 
 初めてCBR1000RR-Rでウエットを走らせた伊藤も、フロントの接地感に悩みながらも着実にタイムを上げ両レースとも11番手グリッドを確保していた。
 ST600クラスは、レース1、レース2共に赤旗中断のある荒れたレースとなった。ウエットのレース1では、小山は好スタートを見せ3番手をキープ。小林は4番手で1コーナーに入っていくが、第1ヘアピンで1台にかわされ5番手。2周目にも1台にかわされ6番手を走っていた。
  小山は、タイヤに熱をしっかり入れてからペースアップ。トップグループに加わっていく。小林は、埜口選手にかわされ7番手を走っていた。
 そしてレースも折り返しを過ぎ12周目に入るところで阿部選手がホームストレートで転倒。マシンがコース上に残ってしまったために赤旗が提示されレースは中断。残り5周で再スタートが切られることになる。
 小山は3番手で1コーナーに入るが、第1ヘアピンで埜口選手にかわされ4番手となるが冷静に周回を重ねる。トップ2台は離れてしまい、小山は埜口選手との3位争いを繰り広げる。そして最終ラップの第2ヘアピンで狙い通りに埜口選手をかわし3位でゴール。小林も9位でゴールし、全日本デビューレースでシングルフィニッシュを達成した。小山は両レースで3位を獲得し、シリーズランキングでもトップと1ポイント差の3番手に浮上した。
 ST1000の伊藤は、初日に事前テストのときとフィーリングが変わってしまい苦戦。雨のレース1では思うようにペースを上げることができなかったが10位でゴール。
レース2は、朝のウォームアップ走行でいい感触があったが、スタートで出遅れてしまう。その集団を抜け出し8番手まで追い上げるが、7番手までは差がついていたため追撃もそこまで。そのまま8位でチェッカーフラッグを受けたのだった。

小山 知良 コメント

「今回の筑波ラウンドは本当に苦しみました。その中で両レース共に3位表彰台を獲れたことは、シリーズランキングを考えると大きかったと思います。ランキングトップとの差も1ポイントになりましたし、前戦SUGOの転倒を帳消しにできました。次戦の鈴鹿は、本来なら鈴鹿8耐があった時期なので、今回以上に暑い中でのレースとなることが予想されるので、しっかり戦えるように準備して挑みます」

伊藤 和輝 コメント

「まずは、日本郵便 Honda Dream TPでST1000クラスを走れることを日本郵便やチームの皆さんを始め、応援してくださっている全ての方に感謝いたします。レースの方は、事前テストのときの転倒を引きずってしまい不甲斐ない結果になってしまい申し訳ない思いでいっぱいです。両レースともスタートで出遅れて順位を下げてしまっているので、抜きどころの少ない筑波では致命的でした。集団を抜けたときには、前と差がついてしまっていましたので、改善していきたいです」

小林 隼士 コメント

「初めての全日本はやっぱりすごくレベルが高いレースということを実感しましたが、とても勉強になりました。最初から最後まで全力で走りましたが、ニーグリップの仕方などライディング面での未熟さがよく分かったので、一つ一つ課題をクリアできるようにしたいです。雨の予選では、3番手とフロントロウに並ぶことができ、少し自信になりましたが、まだまだです。このような機会をいただき、手島監督、川村メカニックを始めチームの皆さん、応援してくださった皆さんに感謝しています。これからも頑張ります!」

手島 雄介代表 コメント

「まず日頃よりご支援頂いております日本郵便株式会社、Honda Dream、NTTコミュニケーションズを始め、多くのスポンサーの皆様に御礼申し上げます。
今回の筑波大会は各日1000人分のチケット限定販売にも関わらず多くの方々にお越しいただき改めて感謝申し上げます。
レースではST1000クラスの年間登録ライダー高橋の代役で伊藤和輝が参戦し筑波サーキットの難しいコースでも順応力を発揮してくれました。ST600クラスでは小山がレインコンディション、ドライコンディション共に表彰台を獲得しチャンピオンシップもランキング2位になり、SUGO大会のリタイア分を取り戻してくれました。
また今回はティー・プロ・イノベーションの育成ライダーである小林隼士が全日本デビュー戦にも関わらず予選でフロントロウを獲得する、うれしいサプライズもありました。結果的にリスクの高い筑波大会で無事レースを終えられた事を感謝申し上げます」

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